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2022-07-07
システム負荷テスト基盤を富士通が国内で提供する「Oracle Cloud」で刷新し、 速やかで安定的な作業とTCOの大幅な削減に成功
フルエナジーの社員写真

株式会社フルエナジーは、クラウド技術に特化したビジネスを展開するクラウドインテグレーターです。特に注力しているシステム負荷テストサービスは、キャンペーンサイトなどのアクセスが集中するサイトに対する耐久性の検証に利用されています。以前のシステム負荷テスト基盤では、「パワー(VM性能)が足りない」「作業時間がかかりすぎる」などの課題がありました。そこで、富士通株式会社が国内で提供したばかりのOracle Cloud Platformにシステム負荷テスト基盤を移行。環境作成やシステム負荷テストまでの時間を短縮化するとともに、処理性能を約2.6倍向上させ、これによりコストを50%削減することに成功しています。

導入の背景

システム負荷テストサービスとは

クラウド移行支援やシステム負荷テストサービス、運用支援、WEB-DBシステム・インフラ設計/構築などの業務に取り組んでいる株式会社フルエナジー(以下、フルエナジー)。その特長には、専門の営業職を設けず、エンジニア自身がクライアントと交渉しながら仕事を進めるというビジネススタイルが挙げられます。エンジニアが持つ卓越した技術力とコミュニケーション能力をベースに実績を積み重ね、着実にビジネスを拡大してきました。

システム負荷テストとは、サイトにアクセスが集中すると、レスポンスが悪化し、ページ閲覧に支障が出て、最悪のケースではサイトがダウンしてしまうことを回避するためのテストであり、疑似的に膨大なアクセスを集中させるなどの作業によって耐久性を検証します。

フルエナジー 戦略事業推進本部 システム研究開発事業部 クラウドビジネス主任の松本昭史氏は「当社のシステム負荷テストサービスは、負荷を掛けておしまいではありません。想定している目標よりレスポンスタイムが長い、サイトがエラーでダウンするなどの結果が出た場合は、お客様と協力してボトルネックを追求します。そして改善後に改めてテストを繰り返します。こうして、万全の状態でサイトのリリースを迎えられるように支援しています」と説明します。

導入の経緯

システム負荷テストの更なる効率アップに貢献するOracle Cloud

フルエナジーでは過去にも、システム負荷テストの効率化のため、テスト環境を刷新しています。

2014年には、オンプレミスだったテスト環境を、より大規模なシステム負荷テストを想定して、汎用的なパブリッククラウドサービスを利用したクラウド基盤に刷新しています。

ところが、「当時のクラウド基盤はテストの効率化は進んだものの、満足なパフォーマンスを得られず、クラウド移行への期待値に対する満足度は50%程度でした」と松本氏は振り返ります。

解決策を検討中に目にしたのが、富士通株式会社(以下、富士通)が国内で提供する「Oracle Cloud Platform」(以下、Oracle Cloud)でした。20175月に採用し、Oracle Cloud上でシステム負荷テスト基盤を刷新しました。

Oracle Cloudを選定した理由について、松本氏は「私たちのエンジニアは、オラクル製品への理解に長けているという自負があります。高い技術力、強力なインフラ、万全なセキュリティで運用されるOracle Cloudを、まずは自分たちで使って、その能力を試してみたいと考えました。同時に、それが素晴らしいものであれば、お客様に向けたサービスにいち早く利用できる」と当時の思いを語りました。

フルエナジーではOracle Cloudにおけるコスト面でのメリットも重視しました。同サービスの従量課金の料金プランでは、DBライセンス料もサポート費用も、DBを使用した時間だけ課金されるため、一日、または一週間など短いテスト期間だけ利用するなど、システム負荷テストに適した使い方ができ、コストを抑えられます。また、定額課金の料金プランでは、従量課金の半額以上の割引が適用されるサービスがあったり、多くのクラウドがアップロードのみ無料であるのに対しアップロード、ダウンロードともに無料であったり、VPNなどのセキュアな接続も標準で利用できることも、コスト削減に効果があります。これらのコストを抑えられれば、システム負荷テストサービスの提供価格も下げられ、お客様へのメリットにもつながります。

また開発フレームワーク「Oracle APEX」を利用して、追加費用なくシステム負荷テストの測定結果を集計・分析するためのアプリケーションを作成できることも導入を後押ししました。

導入効果

TCO 50%削減とスピードアップは、お客様のメリットに直結

ベンチマークツール「UnixBench」による性能比較では、以前利用していた他社クラウド環境の約2.6倍もの性能向上を実現しています。また性能改善により、TCO(総保有コスト)を50%削減することに成功しました。

フルエナジー 戦略事業推進本部 マルチクラウドインテグレーション部の加藤 等氏は「TCO 50%削減したことにより、より高い負荷をかけたいという場合でもノードを増やすなど柔軟に対応できます」と説明します。

さらに、国内で提供されることからデータ転送速度が向上し、レイテンシー(遅延)も改善しました。コストを抑制するために検討していた海外データセンターと比べて、データ転送速度が約7.5倍向上、レイテンシーも約22分の1に短縮されたという結果が表れました。

システム負荷テストサービスでは、テスト結果を集計して分析することでボトルネックとなり得る箇所を特定し、インフラやアプリケーションの改修後に再度テストを実施するというサイクルを繰り返します。Oracle Cloudに刷新した結果、環境の構築やテスト実施、分析とさまざまな作業のスピードアップが実現でき、テストのサイクルを早く回すことができるようになりました。

加藤氏は「システム負荷テストを行うのはサイトリリースの直前が多く、テスト期間は非常に慌ただしくなります。しかし、Oracle Cloudがもたらしたスピードアップによって、短い期間でも柔軟に複数回のテストができるようになりました。エンジニアとしてはありがたいことです。これはお客様にもメリットがあります。サイトのサイジングなどが必要な場合でも、時間に余裕ができれば、それだけ十分な検討ができるからです」とOracle Cloudの導入メリットを実感しています。

将来展望

Oracle Cloudで推進するクラウドビジネス

フルエナジーはサービスだけでなく、富士通が国内で提供するOracle Cloud東日本データセンターをお客様に提供するビジネスも展開しています。

クラウドビジネスを推進する立場として、松本氏は「オンプレミスでは余裕を見て、高スペックなハードウェア、将来の要件を見越したライセンス構成で構築するのが一般的です。しかしクラウドなら、お客様のビジネスに合わせたサイズで提供できます。つまりスモールスタートで始めて、必要に応じて拡張していけるのがクラウドの良いところ。新規ビジネスの立ち上げの敷居を下げてくれるのは、企業にとって非常にありがたいことではないでしょうか」とクラウドビジネスに対する思いを訴えます。

またフルエナジーでは、持ち前のフットワークの軽さを武器に、従来型のSIerとは異なる働き方への取り組みを進め、「クラウドを有効活用するには多種多様な人材が必要」とエンジニア教育や働くための環境づくりも重視しています。

女性エンジニアの登用もその一つです。

マルチクラウドインテグレーション部 Global IT Engineerの新堀一美氏は「働く形態、出産・育児に関してフレキシブルに対応してくれるので女性エンジニアも働きやすく、当社の強みだと感じています」と語ります。

「社員の能力アップ、働きやすさ向上」を自社の成長基準に掲げているフルエナジーは、これからのクラウドシフト時代においてさらなる成長を目指しています。

株式会社フルエナジー概要

  • 会社所在地:〒107-0062 東京都港区南青山2-7-5 南青山コンドビル2F
  • 設立:2007914
  • 事業内容:クラウド移行テスト、Oracle Cloud 東日本リージョン再販&移行支援、Oracle APEX アプリケーション開発支援、WEB-DBシステム・インフラ設計/構築、システム運用支援サービス、エンジニア教育プログラム開発。
  • 従業員数13人。
  • ホームページ:http://fullenergy.co.jp/corp/

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